コーチング理論003 ゴール②現状の外

-ゴールは現状の外に設定する-についてです。

ゴール設定には3つの肝があって

①自分が達成したいI want to であること

②現状の外に設定すること

③人生すべての方向にバランスを持つこと

 

今回は②の現状の外に設定する話です。

現状の外

 

現状の外って聞いて、あなたはなんだそれは?と思ったかもしれません。

人間は、ゴールを達成する途中に、

ゴールに近づけば近づくほど、向かっていく熱意や気力がなくなって、ゴール達成が困難になる

と言われています。あなたも少なからず経験がありませんか?

だから、ゴールは常に自分からなるべく離れたところ=現状の外に設定したほうがいい、という話になります。

 

わかりやすい例を挙げると、歩行者用の信号のある交差点の横断歩道の風景。

青信号が点滅しだすと、遠くにいる人は渡りきろうと駆け出しますけど、渡りきる手前になると走るのをやめて歩きだします。赤になっても歩いている。

横断歩道を渡りきるというゴールの達成が近づくと、安心してしまって、先に進むエネルギーがなくなった、ということになります。駆け抜けてずっと走っている人は、おそらく本当に急いでる人で、そういう人は横断歩道よりもっと先に目的地やゴールがあるはずです。

 

現状の中と外

これを踏まえて、あなたの現状ってどこまででしょうか?

自分を取りまく範囲や置かれた状況など、今の現実の世界だけを想像しましたか?

それも間違いないですけど、コーチングで、「現状」は、今の現実の世界がこのままで続いた未来も含みます。考えてみてください。ゴールを立てたとして、今のまま、この先の延長線上で、時間をかければ達成できるものは、わざわざゴールとしてコーチングが必要な対象ですか?

 

おそらくゴールとしてこれをやりたい、これを達成したいと思うものは、未来も含めてこのままじゃいけないと思わせているので、やる気や熱意となっています。

絵で見ると、現状の内側は左側のこんな感じで外から自分を守ってる、このままでいいという状態。

  

こういう気持ちとこの狭い世界から外に出たい‼という気持ちのせめぎあいが起きていて、普通の場合は現状の外には出られないことが多いです。

 

そこで改めて現状の外のゴールを考えます。

繰り返しますが、通常、現状の外には出られないので、コーチングでゴールは現状の外に設定するということは、普通に考えれば、到底達成できないような事柄になります。到達できないような夢物語は、ゴールになんかならないと思うのは、まあ当然です。

さて、ではどうするか?

ここでまた脳科学が出てきます。結論としては、たとえ夢物語でも自分が到達したいと思うゴールであれば、脳がフルパワーでやり方を見つけて、到達するための手立てを発見することができます。これはRASと言われるものが大きくかかわってきます。

RAS(ラス)

脳には、RAS(Reticular activating system)、日本語では網様体賦活系(もうようたいふかつけい)と訳されて、身体の機能を研究する生理学的には覚醒や睡眠に関わる機構が備わっています。

脳や意識の働きを研究する認知科学では、この働きとして、無意識に必要とする事柄に焦点を合わせる機能があるということが知られています。このRASの機能は生きていく上でとても大事なのですが、この半面、必要としていないと無意識が判断すると意識から外されて見えなくなるモノや事柄ができてしまい、これををスコトーマ/盲点と言っています。

本来、身体の機能を研究する生理学の専門用語から始まっていますが、気持ちを研究する心理学にまでこの言葉が使われています。いわゆる心理的盲点という言葉ですね。

 

目の前に探している鍵があっても、気づかないのはこのRASの機能が関係しています。

これは、視野や意識に入ってくるものを全部認識していたら脳が疲れてしまうので、無意識に自分に必要な情報だけを取り入れる、脳が楽をするための現状を作っている機能といってもいいかもしれません。

 

このRASとスコトーマの関係が、ゴール達成に大きく関わります。

 

その説明の前に、網様体賦活系、ってなかなか入ってこない言葉なので、何が言いたいのか言葉を少し分解してみました。

網様体とは、脳幹の背側部分に散在する構造物で、まばらな細胞体の間を網目状の神経線維が結んでいるのでこの名がある。つまり、網目のような構造物。呼吸および循環の中枢であり、生命維持に不可欠な機能を担っている。

賦活 医学用語で、活力を与えること。
、システム(system)は、相互に影響を及ぼしあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体
これらをまとめると、網様体を活性化させる仕組み、ということになりますね。
まあ、普段はRAS(ラス)って言ってますが。

RASの必要とする事柄に焦点を合わせる機能と、その結果スコトーマ/盲点ができることについて、もう少し判りやすくしてみます。

例えば、すでにスコトーマができているという説明として、まばたきを考えてみてください。

無意識にまばたきして、「あ、前が見えなくなった」といちいち気にしないですよね。まぶたを閉じれば見るためには邪魔なはずなのに、まばたきして、視界が遮られたとは普通に誰も思わないです。

でも、前が見えないことを意識していないのはスコトーマができているからです。

これはRASによって見るということに集中しているので、まぶたを閉じて見えないことは意識に上がらず、スコトーマとなっているということになります。

 

逆にスコトーマが外れる例では、

何も意識していなければ誰も気づかないところに、欲しくて探していた時計がそこにあった、ということもあると思います。他の人にはスコトーマになっていても、欲しいと思ってRASが働き、スコトーマが外れたために見つけられた、その結果と言えます。

 

 

RASを働かせる

ではこの無意識に働いてしまうRASをうまく働かせるためにはどうすればいいでしょうか?

これまでの話から、そう、

自分に必要な情報を探そうと思うこと、つまり目指すゴールを作る。これだけです。

無意識にRASで見せられている現状の景色を、

現状の外にゴールを作ることによって意識に上げ、

意図的にRASを働かせる、ということです。

 

どうしたらたどり着けるか全く知らない、現状の外にゴールがあったとして、知りたいというゴールがあれば、

例えば、

誰かが到達したことがある事柄であれば、その誰かが何をやったかを調べればやり方はわかるかもしれません。

誰も見つけたことがないものを発見したいのであれば、発見できなかった人がやっていなかったことが見つかるかもしれません。

 

自分のやりたいことを考えること、つまり現状の外にゴールに立てることは、

その対象に対してRASを全開で働かせ、やり方を自然に見出す、

というカラクリを作っていることと同じです。

 

 

やり方もわかり、実際に始めることで、しばらくすると現状の外ゴールに近づいてきます。

継続的な行動に対してやる気が出てこなくなったり飽きたりするのでそうなったら、

ゴールが現実に近づいている証拠。

そうなる前に、あるいはそうなったら、ゴールの見直しを考えましょう。

 

深めるのもよし、伸ばすのもよし、やめる、という選択もあります。

 

今回はここまでにします。

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